理事長所信

 

  2022年度

  一般社団法人カシオペア青年会議所

  第53代 理事長

 

  高田 将洋

【はじめに】

 私が青年会議所(以下JC)という名前を初めて聞いたのは1998年、 冬季オリンピック・パラリンピックが長野県で開催され、世界中から集まったアスリートの活躍に日本中が沸いた年でした。同年11月、当時の二戸青年会議所が「目指せオリンピック!カーリングによるまちおこし」をキャッチフレーズに、長野オリンピックカーリング日本代表選手を県北青少年の家に招き、カーリング体験会を行いました。その時中学3年生だった私はその体験会に参加し、世界レベルの選手のプレーに衝撃を受け、その立ち振る舞いに感動し「自分もカーリング選手になって活躍したい!」「どうやったら北海道の高校に入ってカーリングができるだろう」と本気で考えまた。しかし当時はインターネットで検索するというような自力で情報収集をする方法が無く、夢を自分の心の中にしまい諦めてしまいました。高校を卒業後、東京で約10年間を過ごし2012年に二 戸市に戻り生活する中でカーリングと再会し、本格的に競技を始め現在も日本選手権を目指して練習に励んでいます。中学生の頃はJCという団体 がどういうものか考えたこともありませんでしたが 、大人になって振り返るとこれだけ子供の記憶に深く刻まれる事業を行い、年を重ねた今も当時の夢を追い続けられる環境を築いてきたJCの先輩方の運動は本当に素晴らしいものだと身を持って感じています。その私が冬季オリンピック・パラリンピックの年に理事長の職を拝命できることは、まさに運命であると感じています。偉大な先輩方がこれまで52年間築き上げてきたこのJCという組織と地域社会を発展させていくために53年目 を突き進んで参ります。

 

【スポーツによるひとづくりとまちづくり】

 我が国のスポーツ基本法では「スポーツは、世界共通の人類の文化」であり、「国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営むことは、全ての人々の権利」であると定義されており、スポーツには健康増進、青少年育成、地域の活性化など、様々な意義があります。また、スポーツを通じてひとやまちがつながりを深めることで新型コロナウイルスの影響によって停滞している社会の一体感や活力の向上につながっていきます。昨年は東京において夏季オリンピック・パラリンピック が開催され、我が県においてもこれを好機と捉え、2019年度から2023 年度までの「岩手県スポーツ推進計画」が策定されております。カシオ ペア地域やJC運動においても、スポーツによる青少年育成事業を推し進め、地域の一体感と活力を取り戻し、明るい地域社会を築き上げる必要があります。今年は冬期オリンピック・パラリンピックが開催されますが、カシオペア地域においてもカーリングやアイスホッケーといった子供たちが世界で活躍する夢を持てる、この地域ならではの競技があります。また、野球、剣道、弓道、なぎなたのように伝統的に全国規模の大会で活躍する選手を多数輩出している競技も存在します。これまでJCがスポーツを通じたひとづくりとまちづくりで培ってきた熱い想いを再燃させ、子供たちに夢を与え、全国や世界へ羽ばたける青少年の健全な育成と個性豊かで魅力的なまちづくりを展開して参ります。

 

【ウィズコロナ社会における賑わいの復活へ】

 昨年、一昨年と2年連続で我々の代表的な運動の一つである二戸まつり前夜祭が中止となり、カシオペア地域の祭りや飲食を伴うイベントの多くも開催断念を余儀なくされました。その中でも我々はまず現状でできることをやろうという強い想いから、大平球場にて花火大会を開催しました。世の中に暗い話題と先が見えない不安が広がる中、二戸市内の子供たちが製作した募金玉の設置、協賛金など地域の方々の応援に支えられ、新型コロナウイルスの感染拡大を防止する新しい形で夜空に希望の光を照らすことができたのは今後の可能性を示す上でも大きな事業でした。現在の世界情勢を見ると、全てを中止にするという流れから徐々に状況に応じて賑わいを取り戻そうという方向に進んでおります。カシオペア地域においても賑わいを創出する事業を通じて地域社会の活力を取り戻すことは喫緊の課題であります。一度止めた歩みをもう一度進めるためには非常に大きな勇気とエネルギーが必要で

あります。コロナ禍で失いかけた、魅力ある地域の食材の発信を通して郷土愛を醸成する機会を取り戻すため、カシオペアフードフェスティバルの再開に向けてJCの力だけでなく他団体や地域の方々と協働し、感染対策を講じながら賑わい復活への一歩を踏み出す運動を行なって参ります。

 

【伝える力と受け取る力の強化を】

 現代社会において情報発信の重要性が叫ばれる中、それはJCにおいても例外ではありません。地域の方々の声に耳を傾けるとまだまだJCの運動を知らないという人が多く存在します。事業の運営側に立っているとポスター掲示やSNS投稿など、その労力で満足してしまう事があります。しかし、本当に必要な事は対象者一人ひとりにしっかり情報が行き届く事であり、実際に参加してもらう事です。どんなに良い事業を行っていても事後報告の画像や紙面だけでは伝えきれないその場の雰囲気というものがあります。SNSや動画配信サービスに代表されるように様々な情報発信ツールが溢れている現代社会において、それを使いこなすことはもちろんでありますが 、それを 利用したことによってどれだけの効果があったかを検証し、より効果的な情報発信の方法を選択する必要があります。時には最先端のデジタルツールよりも、アナログな紙媒体の方が一人ひとりに情報が届くといった事も少なくありません。また、多方面で活躍する若者が多く、人との繋がりが強いカシオペア地域では口コミも非常に有効な手段であると考えます。我々が行なっている運動に自信を持ち、メンバー一人ひとりが自らの言葉で発信する事 が求められます。今一度、情報発信の方法を見直し、アナログとデジタルの両方を使いこなし、JC運動の素晴らしさを体感してもらうために伝える力を強化して参ります。また、真偽にかかわらず膨大な情報が溢れている現代社会において、情報の取捨選択や自ら新しい情報を受け取りに行く力を身につけることも重要であると考えます。検索ツールやSNSでは閲覧履歴などからAIによって自分の趣味趣向に合った情報が自動的に表示される仕組みがありますが、それをただ受け取るだけでは偏った情報しか手に入れることができません。「聞いた事がない」「知らない」というのは、受け取る側の課題でもあると考えます。目の前の情報だけでなく様々な媒体から発信される情報を自ら比較し客観的に判断することが重要です。JC運動をより多くの人に理解してもらうためにも情報を受け取る力の重要性を伝える事業を行なって参ります。

 

【持続可能な組織を目指して】

 近年、SDGsという言葉が色々な場面で使われるようになりました。持続可能な開発目標であるSDGsは2015年に国連サミットで採択され、2021年から2030年までは行動の10年に位置付けられています。つまり、もう既に考えるだけではなく行動しなければならない期間に入っているのです。SDGsという言葉ができたから行動しなければならないのではありません。それ以前から我々が行なってきた運動は、青少年育成や地域の課題を解決し発展に導く、つまり未来に繋がるまさに持続可能な地域を目指した運動であります。時代の流れに乗りつつもその本 質を見極め、我々が住むカシオペア地域を持続していくために求められている運動を行なって参ります。そのためにはJCという組織を持続可能なものにすることが必要であり、志を同じうする仲間を増やすことが不可欠です。人口減少が著しい地域の中で、個々が活動するフィールドも広くなっており、単なる人集めでは人材確保が難しい時代になっています。JCが地域を発展させるために大きく関わっていること、個々の成長の機会を提供していることを多くの人に伝える必要があります。また、自己満足の運動ではなくカシオペア地域に住む方々がJCに何を期待しているのかを知る機会を設け、その繋がりをきっかけに、より多くの人にJC運動の意義を理解してもらい共感を得ることで仲間が増えていくと信じています。持続可能な組織を目指し、今年度は「理念共感型」を合言葉に会員拡大活動を行なって参ります。

 

【結びに】

 批判をするだけでは現状を変えることはできません。本当に何かを変えたいと思うのなら、自ら動き出す必要 があります。しかしそれは口で言うほど容易なことで はありません 。地域を牽引していく存在に求められるのは、時には壁にぶつかり、心が折れそうになりながらも何度でも立ち上がり壁を乗り越えていく、強い精神力で突き進んでいくエネルギーです。今年度のJCにはそのようなエネルギーを持った真に強いリーダーになれる可能性を持ったメンバーが揃っています。さらにJCという組織には自ら考え行動できる人を育てる伝統と風土があります。そして苦しい時にもお互いに支え合える本当の仲間がいるのがJCの強みであります。このような素晴らしい組織に集まった志を同じうする仲間とともに、夢と情熱を持って挑戦するひとが輝けるまちづくりと、魅力溢れるカシオペア地域を目指し、53年目の運動をメンバー一丸となって邁進して参ります。